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「再発・難治性小児がん個別化治療」の確立を目指して
 
ミシガン大学では、トランスレーショナル病理ミシガンセンター(Michigan Center for Translational Pathology )を2007年に設立し、センター長 Dr. Arul M. Chinnaiyan, MD, PhD を軸に疾病マーカーと標的治療の研究を行っています。Dr. Chinnaiyanらの研究チームは2011年に『MiOncoSeq』と呼ぶ、がん発症に起因するだろう遺伝子の異常を見つけ出すプログラムを確立しました。2012年には、小児がんにおける異常な遺伝子情報をまとめた小児がん遺伝子データベースと組み合わせた『Ped-MiOncoSeq』を確立し、再発性または進行性小児がんの個別化治療を目指し、組織と委員会を編成、個別化治療の現実化に向け、今日もなお検討を続けています。
 
これまでの癌個別化治療では、特定癌疾患に対する標的治療薬の効果が期待できるか特定遺伝子・タンパク質を測定しています。Dr. Chinnaiyanらが行う個別化治療では、患者癌組織標本より得られる癌細胞の全ゲノム配列を解析、得られる患者固有の遺伝子情報をもとに、患者固有の癌発病に起因する情報を得ます。その結果、既存の治療薬で、癌抑制メカニズムが明らかとされていて、患者固有の遺伝子情報と一致した場合にはその治療薬を、既存の治療薬がなくても開発中の治験薬があり、小児適応外投与量が示され安全性が確立されていればその治験に参加、治療を変え寛解を目指す『再発・難治性小児がん個別化治療』を研究しています。
 
Dr. Chinnaiyanらが行う個別化治療『Ped-MiOncoSeq』プロジェクトの途中経過が、2015年9月1日発行の医学雑誌JAMAで発表されました。報告によると、これまでに102人の小児がん患者の遺伝子解析を行い、内42人、46%の患者遺伝子に異常を見出し個別化治療となる既存の標的治療薬や治験薬による治療プロトコルを提案してきたようです。しかし、小児での安全性や投与量情報がなかったりすることを理由に投与に至らなかった例と治験不足を考察しています。また、これまでに知られていなかった遺伝子異常も見つかっているようです。
 
今後、統計学的に有意に観察される相対的遺伝子異常を標的にするがん治療薬開発に加え、例外的な遺伝子異常にも対応できる標的治療薬開発も検討し、一つでも多くの治療選択肢を持つ『引き出し』を構築することが、理想の癌個別化治療に近づくと考えられます。
 
文献:Mody et al. Integrative Clinical Sequencing in the Management of Refractory or Relapsed Cancer in Youth. JAMA. 2015; 314(9):913-925.
(2015年10月31日)
 
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