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抗腫瘍薬:標的治療薬の種類と小児がん適用への展望
~成人抗腫瘍薬として承認済みの標的治療薬の小児がん臨床試験一覧~
 
近年、細胞内の特定タンパク質に結合し、特定の細胞機能や遺伝子発現を制御できる標的製剤と呼ばれる治療薬が開発され、疾病管理は確実に改善されています。標的製剤による標的治療では、治療の対象となる疾病の発生の引き金となるタンパク質や疾病を進行させるタンパク質に特異的に作用することから、疾病特異性が高い上、有害作用も低い治療となることが期待されるからです。抗腫瘍薬として既に27治療薬が、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Admistration; FDA)または欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency; EMA)によって認可されています。Pediatric Hematology and Oncology 10月号に掲載されたDr. Rossigらによる総説では、これまでに適用が認可された標的抗腫瘍薬中、小児がんへの適用が認可されている製剤がわずか一製剤にすぎないことを指摘すると同時に、今後、研究者と企業が益々協調することによって、小児がん治療は飛躍的に改善されるであろうことをまとめています。Dr. Rossigらの総説中より、成人での使用が既に認可されている標的抗腫瘍薬の適用腫瘍と、それらの小児がん臨床試験実施状況をまとめた表を以下に紹介します。
総説タイトル New Targets and Targeted Drugs for the Treatment of Cancer: An Outlook to Pediatric Oncology
著者名 Claudia Rossig, Heribert Juergens and Wolfgang E. Berdel
著者らの所属機関 Department of Pediatric Hematology and Oncology, University Children’s Hospital Munster; 
Department of Medicine A—Hematology and Oncology, University Hospital Munster; Munster, Germany
掲載 Pediatric Hematology and Oncology, 28:539–555, 2011
総説の抄録 小児がん生存率を更に改善するためには、新しい治療薬と治療方法の開発が必要とされます。がんに関連する分子的基礎研究における発見が、がん細胞の形成や成長、または転移を引き起こす細胞シグナリングや腫瘍微少環境をターゲットとした新しいタイプの治療薬の開発の引き金となっています。近年、これらの研究をベースに、がん細胞シグナリングを調整する小分子製剤や細胞内の特定タンパク質に作用する標的抗体が成人のがん治療薬として認可されてきており、小児への適用も検討され始めています。成人のがんと小児のがんは生物学的にことなりますが、通常研究者らが指す細胞経路は彼らが実験的研究から得られた知見に基づいています。従って、成人における標的分子製剤の臨床成績を検討することによって、小児腫瘍学も発展すると考えられます。本総説では、近年成人のがんに適用が認められた製剤の分子生物学的シグナル経路を概説し、小児がんへの適用が期待できる既存製剤を議論します。
   
受容体シグナル分子標的抗腫瘍薬
一般名 販売名 成人での承認 小児臨床試験
セツキシマブ
(Cetuximab)
アービタックス
(Erbitux)
KRAS野生型切除不能大腸癌
頭頸部扁平上皮癌
高リスク神経膠腫におけるNimotuzumab
パニツマブ
(Panitumumab)
ベクチビックス
(Vectibix)
KRAS野生型切除不能大腸癌  
ゲフィチニブ
(Gefitinib)
イレッサ
(Iressa)
活性型変異EGFRを伴う非小細胞肺癌
(1s tライン)
高リスク神経膠腫
エルロチニブ
(Erlotinib)
タルセバ
(Tarceva)
非小細胞肺癌 (2nd ライン)
膵癌
高リスク神経膠腫
髄芽腫
トラスツズマブ
(Trastuzumab)
ハーセプチン
(Herceptin)
HER2/NEU-陽性乳癌
胃癌
 
ラパチニブ
(Lapatinib)
チカーブ
(Tykerb)
HER2/NEU-陽性乳癌 高リスク神経膠腫髄芽腫
イマチニブ
(Imatinib)
グリベック
(Glivec)
消化管間質腫瘍 消化管間質腫瘍
スニチニブ
(Sunitinib)
スーテント
(Sutent)
消化管間質腫瘍
腎細胞癌
消化管間質腫瘍
       
細胞内シグナル経路標的抗腫瘍薬
一般名 販売名 成人での承認 小児臨床試験
イマチニブ
(Imatinib)
グリベック
(Glivec)
慢性骨髄性白血病
Ph+ 急性リンパ性白血病
慢性骨髄性白血病
Ph+ 急性リンパ性白血病
承認済み
ダサチニブ
(Dasatinib)
スプリセル
(Sprycel)
慢性骨髄性白血病
Ph+ 急性リンパ性白血病
慢性骨髄性白血病
Ph+ 急性リンパ性白血病
ニロチニブ
(Nilotinib)
タシグナ
(Tasigna)
慢性骨髄性白血病 慢性骨髄性白血病
ATRA
(ATRA)

()
急性骨髄性白血病
(FAB-M3)
急性骨髄性白血病
(FAB-M3)
エベロリムス
(Everolimus)
サーティカン
(Certican)
腎細胞癌 脳腫瘍
神経芽腫
肉腫
テムシロリムス
(Temsirolimus)
トリセル
(Torisel)
腎細胞癌
マントル細胞リンパ腫
 
       
エピジャネティック転写調節
一般名 販売名 成人での承認 小児臨床試験
デシタビン
(Decitabine)
ダコゲン
(Dacogen)
骨髄異形成症候群 (FDA) 急性骨髄性白血病
骨髄異形成症候群
急性リンパ性白血病
5-アザシチジン
(5-Azacitidine)
ビダザ
(Vidaza)
骨髄異形成症候群 急性骨髄性白血病
骨髄異形成症候群
ボリノスタット
(Vorinostat)
ゾリンザ
(Zolinza)
皮膚T細胞性リンパ腫 急性リンパ性白血病
内在性橋膠腫
固形腫瘍
       
プロテアソーム抑制薬
一般名 販売名 成人での承認 小児臨床試験
ボルテゾミブ
(Bortezomib)
ベルケード
(Velcade)
多発性骨髄腫 急性リンパ性白血病
       
腫瘍細胞シグナリングに含まれない分子に対する抗体および複合体
一般名 販売名 成人での承認 小児臨床試験
リツキシマム
(Rituximab)
リツキサン
(Rituxan)
CD20+ びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫慢性リンパ性白血病 CD20+ リンパ腫
90インジウム イブリツモマブ チウキセタン
(90Yttrium ibritumomab tiuxetan)

イットリウム90
(Yttrium-90)
CD20+ リンパ腫  
ゲムツマブオゾガマイシン
(Gemtuzumab ozogamicin)
マイロターグ
(Mylotarg)
急性骨髄性白血病 (FDA, 取り下げ) 急性骨髄性白血病
デニロイキン ディフチトックス
(Denileukin diftitox)
オンタック
(Ontak)
皮膚T細胞性リンパ腫 未分化大細胞リンパ腫
アレムツズマブ
(Alemtuzumab)
キャンパス
(Campath)
慢性リンパ性白血病  
       
血管新生抑制薬
一般名 販売名 成人での承認 小児臨床試験
ベバシズマブ
(Bevacizumab)
アバスチン
(Avastin)
大腸癌、乳癌、腎細胞癌、非扁平上皮非小細胞肺癌、神経膠腫 脳腫瘍
播種性肉腫
神経芽腫
ソラフェニブ
(Sorafenib)
ネクサバール
(Nexavar)
腎細胞癌
肝細胞癌
骨肉腫
スニチニブ
(Sunitinib)
スーテント
(Sutent)
腎細胞癌
消化管間質腫瘍
 
パゾパニブ
(Pazopanib)
ボトリエント
(Votrient)
腎細胞癌  
       
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