「小児悪性固形腫瘍治療製剤」に発現する有害事象(副作用)について |
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2016年3月現在、小児悪性固形腫瘍治療に用いられる製剤(12製剤-12薬効成分)とその他の抗腫瘍製剤(162製剤-140薬効成分)に発現する副作用ついて、国内および国外の総計369の臨床試験または調査によって得られ報告された副作用情報を集計、算出しました。 |
【小児悪性固形腫瘍製剤に高い発現が見られる副作用】小児悪性固形腫瘍治療に投与される製剤では、その他の抗腫瘍製剤と比較して、胃腸障害および代謝・栄養障害に高い副作用発現がみられ、皮膚および皮下組織障害、および血液学的検査に属する臨床検査において、高い副作用発現傾向がみられました。また、腎尿路系検査に属する臨床検査にも、その他の抗腫瘍製剤と比較して高い副作用発現傾向がみられました。 |
その他の抗腫瘍製剤と比較して高い発現または高い発現傾向がみられた副作用 |
胃腸障害 |
口内炎、下痢、悪心、嘔吐 |
代謝・栄養障害 |
食欲不振 |
皮膚・皮下組織障害 |
脱毛症 |
血液学的検査 |
ヘモグロビン減少、血小板数減少、赤血球数減少、白血球数減少
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腎尿路系検査 |
血中尿素増加、腎クレアチニン・クリアランス減少 |
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小児悪性固形腫瘍製剤 |
製剤名 |
成分名 |
アドリアシン注用10/アドリアシン注用50
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ドキソルビシン |
アルケラン静注用50mg
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メルファラン |
オンコビン注射用1mg
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ビンクリスチン |
カンプト点滴静注40mg/カンプト点滴静注100mg
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イリノテカン |
コスメゲン静注用0.5mg
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アクチノマイシンD |
ハイカムチン注射用1.1mg
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ノギテカン |
パラプラチン注射液50mg/ パラプラチン注射液150mg/パラプラチン注射液450mg
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カルボプラチン |
ブスルフェクス点滴静注用60mg
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ブスルファン |
ブリプラチン注10mg/ブリプラチン注25mg/ブリプラチン注50mg |
シスプラチン |
ベプシド注100mg
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エトポシド |
注射用エンドキサン100mg/注射用エンドキサン500mg
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シクロホスファミド |
注射用イホスマイド1g |
イホスファミド |
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アメリカ、イギリスの30年以上にわたり集積され続けているがん登録情報によって、小児がんにおいては、治療後遺症、いわゆる晩期合併症の発現が認められています。未だ生存率値の改善が認められていない小児悪性腫瘍に対する、有効かつ安全な治療薬開発が急がれます。 |
関連項目:
晩期合併症
小児固形腫瘍 転移型生存率推移
横紋筋肉腫
神経芽腫治療薬開発
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(2016年6月1日掲載) |